本

『ブラック・ジャック66の秘密』

ホンとの本

『ブラック・ジャック66の秘密』
沖光正
汐文社
\1365
2005.4

 アニメが連続テレビ放映されるのは、2004年が初めてである。好評のようだ。
 手塚治虫の名作――とはいえ、彼の暗い時代に苦しみの中から生まれた恐怖作品が次第に洗練されていった流れはあるが――である、『ブラックジャック』は、天才外科医であり、法外な金を貪る中で、命について真っ向から問いかけていくマンガである。医師をはじめ多くの人に影響を与えているのは間違いない。
 多分、テレビ放送によって拡大したファンのために、用意された本であろう。中身は、小学生が読むのにちょうどよいくらいである。ふりがなの打ち方にしても、内容や文体にしても、そうである。
 マンガを全部知っている私としては、一読すればその背景までもすべて浮かんでくるのだが、果たしてコミックスを読んでいない子がどれだけついていけるのかは、分からない。
 しかしとにかく、手塚ファンというよりマニアとも言うべき著者なのだろう、その熱い口調は、文字の背後にあるハートを十分伝えてくれている。
 問題を深く掘り下げる効果はないものの、マンガの作品のあらましを伝達することには成功している。ただ、六年生の次男は、易しすぎるという感想をもった。マンガを一読すれば気づいている程度のことしか書かれていないというふうらしい。もしかすると、コミックスを全部読みさえすれば、こんな解説書は必要ない性質のものらしい。マンガは嫌いだがストーリーは知りたいと思う人のための本だったのだろうか。




Takapan
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