本

『聖書の中の科学』

ホンとの本

『聖書の中の科学』
中嶋路可
裳華房
\1680
1999.4

 入手し難い出版社の過去の本なのかもしれない。私も、めったに書店でお目にかからない。それを、福知山の書店で見たとき、珍しく、また関心もあったので、購入したというわけだ。
 どうやら、教会の週報に連載されていたものを発展的にまとめたものらしい。聖書の中に出てくる対象を、科学的に取り上げて解説してくれている。大学の先生であるが故に、科学的データも取り入れたものとなっているが、決してそうおカタい書きっぷりではない。聖書を信仰の眼差しから捉えて、興味深く解説してくれていると思う。むしろ、あまりに科学的なデータがないために、その読みやすさを素人の手による文章だと錯覚してしまいそうになるほどである。
 たまらなく読みやすく、風のように頁がめくれていき、それでいて、なんだっけ、と調べてみると、とても素人では考えつかないようなデータや調査の上に成り立っている知識が得られる――そんなさりげない説明がふんだんにある書物である。
 それは、時に聖書解釈の領域にまで踏み込む。また、科学的な視点から、聖書のその訳がそのままではまずい、という指摘も幾つか見出される。イナゴの指摘は、断片的に聞いたことはあっても、こうまではっきり間違いだと指摘されていることは、あまりない。
 科学的にも、十分信頼のおける形で、聖書を読み解くために、よいガイドとなりうる本であろう。




Takapan
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