本

『聖書の謎百科』

ホンとの本

『聖書の謎百科』
荒地出版社
\2520
2006.12

 執筆者が17人にわたるため、記しきれません。
 中には、尾山令仁や松永希久夫など、著名な学者もあるし、その他も一流の聖書研究者である。つまり、何かオカルト的な興味から売らんかなで作られた本ではないということだ。聖書に関する真摯な問いかけとその紹介をしようという意気込みが感じられる本である。
 内容的には、モーセ五書と、ダビデ・ソロモン、それからイエスとパウロに限られていると言ってもよいほどで、聖書全般を覆い尽くすものではない。しかし、およそ聖書に対する関心というところから捉えれば、これだけにこの300頁ある本を割いているというのは、親切な構成であると言えるかもしれない。
 最後には、歴史的な史料としての研究についても触れており、知りたい部分はかなり分かるようになっている。年表も工夫したものが添付されており、親切である。
 ただ、いつも私が気にかけて提言していることだが、この種の本には、ぜひ「索引」が欲しい。どこかに書いてあった、と思って開くときに、検索できないのである。せっかくよいことが書いてある本であり、何かのときにまた調べたい、と思いながら読み進めることができるのに、いざ調べたいときに、不便なのである。これは、目次からでは調べられないものが必ずあるのである。
 聖書についての最新の学説や、解釈がよく載せられており、信徒にとってもよい学びになる。ただの護教的解説とは限らない部分が、却って公平ではなかろうかと私なら思う。それでいて、偏見に満ちた否定論調などではないものだから、聖書を知るためには手元に置いておきたいと思われる一冊ではなかろうか。文字が多すぎることにうんざりする方は、嫌かもしれないが。




Takapan
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