本

『頭の体操BEST』

ホンとの本

『頭の体操BEST』
多湖輝
光文社
\840
2009.8

 私の原点の一つとも言える本。いや、これはいわばベストアルバムという感じで、百問が選りすぐりで集められているものだ。だから、かつて私が読んだシリーズの中からも難問か掲載されている。
 これは小学生時分から親しんでいて、小遣いを貯めては買ったものだった。答えをすぐに見るのは実に残念で、制限時間を過ぎてもしばし考えるという具合にして、一冊を長い間味わった。その答えは子どもの私にも理に適うもので、とてもこんな発想はできない、と舌を巻いたものだった。
 果たして今の私も、同じだろうか。私は勇気をもって、これを借りた。
 知っている問題は、もちろんすぐに分かった。それくらい、幾度も読んで思考を鍛えていたのだ。しかし、シリーズは私が本を買わなくなってからもずっと続いていた。そこから抜粋されると、全く見たことも聞いたこともない問題がこの本から私の目の前に現れてくる。それが、果たして解けるだろうか。
 やってみた。すると、思った以上に、答えが分かった。解答を見て、「やられた」と思うときもあったが、概ね正解に達した。となると、私の頭もまんざら運動不足ではないと言えるだろう。今風の、映像によるクイズなどをテレビで見ると、そう当たらないのが悲しいのだが、多湖輝教授の発想法には、幾分かでも慣れているのかもしれない。そこそこ、読めてくるのだ。
 このような発想、考えてみれば、今の私をつくるのに大いに影響を与えていると言える。別の視点、人と違った考え方というものを志すようにしているのだが、そのためには、逆に考えてみたらとか、大きく捉えてみたらとか、この頭の体操の問題の発想が知らず識らずの間に関わっているような気がしてくる。
 こういう本の取り扱い方ひとつで、その人が現れる。すぐに答えを見るか、意地でも見たくないと思うか。概して、すぐに見ないほうが思考力が育つ。その方をお勧めする。せっかく買ったのだもの。長い時間、ゆっくり楽しまれたらよろしい。そのうち、出題の具合を見破り、どのように考えていけば正解が出るのか、要領が少しずつ分かってくることだろう。




Takapan
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