本

『こんなに楽しい遊び文字』

ホンとの本

『こんなに楽しい遊び文字』
森千景
日貿出版社
\1890
2006.4

 絵手紙というものが市民権を得てから、どれくらい経つだろう。
 文字にしても、伝統的な美しい書体というものに限らず、自由な書が認められたのは、必ずしも古くないだろう。しかし、私たちの日常生活の中で、文字とか書道とか言えば、やはり誰が見ても美しい文字に違いなかった。それが、「味」のあるものを多くの人が面白く受け止めるようになってきたというのは、たしかに書道を一般の人のものにしていくのに貢献することになったことだろう。
 ヘタウマ、などと言われるマンガもあった。上手だという形容は恐らく誰もすることはないだろうが、それでも、誰でもそれが真似できるものでもなく、そのアンバランスさえ読者が許してしまう、という何かを有しているもののことである。
 この本が紹介している著者の作品の数々は、果たしてどうなのか。その作品としての仕上がりも含めて言えば、たぶん殆どの人が、「上手い」と漏らすのではないだろうか。
 そこにあるのは、確かに一つには、バランスである。文字の太い細いというバランスが、全体としては成り立っている。いい加減に書いてあるように見えて、その実バランス感覚は確かである。そこに、見ていて安心を覚える理由がある。
 何も作品展示が目的ではない。読者が、ようし自分も、と思い立って実行できるように紹介するのがこの本の主眼であるるだから、道具の使い方や練習するときの具体的な方法や心構えなど、実践的なアドバイスがふんだんに載せられている。
 私もやってみたくなった。




Takapan
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