本

『子どもの力をぐ〜んと伸ばす 遊びBOOK』

ホンとの本

『子どもの力をぐ〜んと伸ばす 遊びBOOK』
グループこんぺいと
西東社
\1050
2005.5

 子育てに関するマニュアルは、いったいどれくらいあるのだろう。昔なら、定番のものが一つ、二つと数えられ、誰もがこれを読んでいた、というふうなものがあったように思う。それがもはや、様々に現れては消えていく。
 しかし、それは多様になったということを意味するとは限らない。表向きは多種多様であるように見えて、その実すべてが同じ根っこでしかない、というものなのかもしれない。
 批評はともかく、この遊びBOOKは、遊びという点に絞った、なかなか楽しい本である。 必ずしも昔の伝承の遊びを伝えていく、というものでもなく、自然の遊びを推奨するというほどのものでもない。不思議な魅力が備わっている。つまり、あまりにも生活にぴったりとはまっているのだ。
 今、さして苦労をすることなく手近に触れられるものを道具として、すぐに誰もができる遊びが並んでいるような気がする。
 その意味で、「なるほど、段ボール一つでこんな楽しいことができるんだ」と感心する一方、「これは、親の負担を極力軽減した遊びに徹した本だ」という印象も拭えない。親が、ちょいと相手をして子どもにうけるには、どんなことをすればいいか、という感じで。
 逆にそれは、商業主義に流されて新しいオモチャを買うということから遠ざかる方法でもあり、親子の関わりが増えるのも事実であり、悪いというようなことではない。
 しかし、親が良き教師でありうるかどうか、となるとまた話は別である。まるで保育士を教育するような見事なマニュアルの中で、はたして、「親が子どもから教えられる」という自然なあり方が、どれほど意識されているのか、疑問でもある。
 後で知ったが、著者のグループは、幼児教育の専門グループだそうである。なるほど、そうか、と一人納得してしまった。




Takapan
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