本

『「洗い方乾かし方」の早引き便利帳』

ホンとの本

『「洗い方乾かし方」の早引き便利帳』
「生活の知恵」取材班
アース・スター エンターテイメント
\999
2012.9.

 新書版であり、まあ今時は仕方がないのだろうが、読み物の新書に比べると若干高価であるように感じる。しかし、タイトルに冠するようにつけてある「いますぐ役立つ!」という謳い文句は本当である。
 なんだ、「洗うと乾かす」だけじゃないか、などと言うことなかれ。何も掃除のときにしか役立たないような概念ではないのだ。ふと見渡せば、そこらのものについて、きれいに、というよりも正しく使うために、そうしなければならないことが、悉くあると言ってもよいほどである。部屋のカーテンも、洗わないで済まされるものではない。鍵穴がひっかかったときには、洗う必要が出てくる。眼鏡は日常的にきれいにしなければならないが、はたしてどうすればよいのか。日々の衣服の洗濯はもう当然であるにしても、チノパンとデニムパンツとでは扱いが違うことをこの本は指摘する。
 食材も洗っているはずだ。肉でも麺類でも、そして毎日の米もまた、洗わないでは食べられない。食器を洗わないでは食べられまい。そのスポンジもどう洗うのか。見出そうとすれば、なんでもかんでも洗う必要のあるものばかりである。しかしまた、そのそれぞれが、洗い方が違う。住居ももちろんだが、灯台もと暗しで、自分の手なんかしょっちゅう洗わないと生きていけない世の中である。ふろに入れば体を洗う。歯みがきは口の中を洗うわけだ。
 動物を飼っているとこれがまたいちだんと気を病む課題である。スポーツをすればその道具、これを洗わないと選手としては失格である。自動車なんか私のようにいい加減にしておいていいはずがない。
 子ども相手に如何に洗う必要が多いか、もうそれは言うまい。気づけば墓参りにも行っていない、となると、洗い方も気になる。なんとなくこんなふうに、とやっているが、無知の故に変なことをしていないだろうか。ただ水をジャッとかけるほか、やっているだろうか。スポンジや歯ブラシを使うなど、考えたことすらない人が少なくないのではないか。
 このように、人が生活をするということは、あらゆる「洗う」行為に囲まれている、「洗う」ことがつきまとう。なんだかんだと、「生活の知恵」的な雑誌の特集も多いし、その類の本もあるから、自分の関心のあることについて知っていて実行している、という人も多いだろう。だが、後でまた調べて必要なときに使う、ということもきっとあるはずだから、雑誌で見たときには関心がなかったことも、また、あれはどうするんだっけ、と知識を求めるようになることがある。できるだけ小さな本の中に、それがまとまっていると有難い。
 というわけで、これはなかなかお役立ちの一冊である。値段以上に、私たちの生活をよくしてくれるのではないか。
 尤も、「心の洗い方」は書かれていない。心をきれいにするためには、ぜひともキリスト教会に行くか、聖書に没頭するか、して戴きたいと願うものである。




Takapan
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