本

『アンモナイト』

ホンとの本

『アンモナイト』
ニール・L・ラースン
棚部一成監訳
アンモライト研究所
\3570
2009.10

 アンモナイト化石最新図鑑と掲げてある。サブタイトルは「蘇る太古からの秘宝」。渋い表紙である。
 まあとにかくアンモナイトの写真・写真・写真。こんな美しいのがあるのかと目を見張るものもあるし、細長い形のものも目を惹く。世界中のアンモナイトが全部集められているのではないかと思われるほどの豊富な図鑑である。
 時折、このアンモナイトにはたまらない魅力を感じるフリークがいるという。その気持ちはなんとなく分かる。この曲線は、数学的にも意味のあるものだそうだが、たしかに美しさを感じさせるものがある。磨いたものは輝き、光を七色に反射している。
 写真はすべて実寸の何倍であるかも示されており、十分学術的な意義を呈している。
 が、この本の最大の特徴は、英和対訳になっているところではないだろうか。各頁が二段組みとなっており、左列が英語、右列が日本語として並べられている。それは一つの論文あるいは解説書といったものになっており、考えようによっては、この論文を読むのを退屈させないように、アンモナイトの写真がちりばめられている、と捉えることもできそうである。
 そもそもアンモナイトとは何か。どのように見出されてきたか。それはどういう時代にどのように生きていたのか。その構造的特徴は何か。世界の各地域においてどのように発見されているか、それらの違いや特徴は何か。興味は尽きない。
 巻末に、用語の解説や時代的特徴の一覧などがあり、親切極まりない。アンモナイトの魅力に取り憑かれた人は、きっとこの本を座右に置いておくことだろう。また、この本を見ることで、アンモナイトのファンになっていく人もいることだろう。魅力的な本である。いや、アンモナイトにそれだけの魅力がある、と言うべきなのかもしれない。
 ところで、科学的な良い本であるだけに、索引も当然作られているのだが、私はこれほど索引を見ただけで不安を抱いたということがない経験をした。それは、索引に並んでいる言葉が、殆ど何も理解できない言葉ばかりだからである。ぜひ、本書を手に取られて、体験して戴きたい。もちろん、アンモナイトにすでに詳しい方は、そんな気持ちになることはないだろう。逆に、血湧き肉躍るという気持ちになるかもしれない。
 そのような本である。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります