『危ない間取り』
横山彰人
新潮社
\1365
2004.6
同じ少年犯罪でも、「食」の観点から述べた栄養学者の意見がある。
件数としては増えているわけではないものの、何か深刻な問題を含むように思わざるをえない、昨今の少年犯罪に、今度は「住」の観点から、黙ってはおれないという建築関係の方の意見がこの本となった。
もちろん、感心は犯罪だけではない。夫婦の問題や、老後の問題を含む。つまり、住まいというものは、生きる基盤だということを、もっと意識しなければならないということなのだろう。
現場の建築の業務をこなす著者の主張は、nLDKという発想の誤りを正すことにある。
売る側の論理で固められた、nLDKが幻想のように私たちの憧れとなっていったからくりを明らかにし、子どもの部屋の与え方において重大な欠陥があることを指摘する。
少なくとも<LDKが集いの場として機能していないことを挙げ、家族関係に多大な影響を与えるということを、中心に論を展開していくのである。
果たして、社会問題が、住宅の構造を原因として現れてくるのかどうか、それは分からない。たとえ、今のような住宅構造になっていなかったとしても、同様の社会問題が生じてこないかどうかは、実験もできないからである。
しかし、衣・食・住は人間の生命(lifeは生命であり生活であり人生である)を構成している。天使のような存在になれない人間としては、これらが人の生きる基盤を形成しているのであって、とくに生きるためにどうしても欠くことのできない要素としての、食と住に関しては、人間を形成する重要な条件となるだろう。落語「じゅげむ」の如く、「食う寝るところに住むところ」は大切なのである。
私たちは、住まいについて、もっと関心を寄せてよいはずだし、こうした住まいでよいのかどうか、問い直す必要に迫られている。私の住まいについても、とても及第点をもらえるものではないことが、よく分かった。
もちろん、住まいがよろしくないから人間がダメになる、と即応するわけではないにしろ、なかなか考えを言い出せない、子どもやお年寄りの立場になって考えるならば、住まいについて改善すべきところは、気づくことができるのではないかと思われる。
家族の絆について考えるときにも、一つの重要なヒントになる事柄だと思った。