本

『The Young Women's Handbook 〜女の子、どう生きる?〜』

ホンとの本

『The Young Women's Handbook 〜女の子、どう生きる?〜』
Yamauchi Mariko
光文社
\1400+
2020.6.

 手に取りやすい、読みやすい本。ノートの罫線が入っており、活字ではあるが、ノートから読んでいるような気持ちを抱く。また、著者と思しき魅力的なイラストが各章に添えられていて、雰囲気がいい。女性、従って読者自身をそこに描いているものと見てよいだろう。
 40歳手前の著者は、30歳を過ぎて小説家デビューした。そして若い女性の視点で、共感や応援の気持ちを以て、女性のライフに声をもたらしているように見える。
 この本は、JJという女性誌に連載したエッセイを、おそらくいくらか手を加えてまとめたものである。「会ったことのないシスターたちへ」という扉での呼びかけに始まり、毎月語ってきた言葉を、まとめて読むに適切な順序に並べ替えているのだと思う。
 Chapterという形でそれらは分けられ、「それは誰のためのファッションか?」「雑誌に載ってる素敵なあの子に、キリキリしちゃうあなたに」「結論、女っぽいを目指さなくていい」というところから始まり、「インフルエンサーになれなくても」「モノとどうつき合っていく?」「"自分らしさ"を探すのは楽しい!」「自分をえこひいきするくらいでちょうどいい」などと流れ定期、「自分の舟を自分で漕ぐ」「あなたにとってカッコいいとは何ですか?」というあたりで結ばれる。
 夢中で駆け抜け、悩みながら、また傷つきながら、過ごしてきた経験を胸に、少しだけお姉さんとしての立場から、嫌味にならないように気を配りつつ、自分に続いて歩んでくる女の子たちに、こういうことを聞いておくと何か役に立つかもしれない、というような心が見え隠れしてくるような気がする。それらはもちろん、決して説教臭くはなく、また自慢しているようなところも少しも見られない。頼りになるお姉さんという雰囲気を壊すことがないように思う。
 当然それは男としての私の見方である。誤解があるかもしれない。そして、これに触れた女性も一人ひとりが置かれた情況や人生経験も異なるわけで、様々な受け取り方があるだろう。軽々しく分かったようなことは言いたくない。後はその読む方の感性と人生観にお任せするのがいいだろう。また、その人にとっても、いまがティーエイジャーであるとか、アラサーであるとか、世代によっても、捉え方がいろいろあるだろうと思う。全くその人任せというところだが、それなりにどの人にも何か響く言葉があるだろうことは確かだろうと思う。同意や共感もあれば、反対論や拒否感もあるかもしれないにしても、それは何かしら響いているということになるのだと理解するならば。
 社会を変えようとか、他の人々を助けようとか、そういう視点ではない。自分をどう大切にするか、というところではあるだろう。それは自己中心などではないと思う。まずは自分をしっかり見つめ、結局のところ自分を愛することができないならば、ひとへと愛が向かうようには思えない。ただ、自分が周りのスタイルや他人の意見にただ流されるだけでしかないとしたら、もしかすると他の人々や組織に利用され道具にされるだけの存在になってしまうかもしれない。かといって、自己を確立するのだ、といきり立つような姿勢でもない。たとえば、男性にモテたいならば、女性誌よりも男性誌を知るほうがいいのだ、というようなあたり、一部の女性からは、男性に媚びるのか、と文句を言われるかもしれないくらいである。けれども、それはある男性と出会ったときに、その男性を大切にすること、またその男性から大切にされること、への、ひとつの大切な視点の獲得になるのではないだろうか。軽々しく、モテるとはこういうことよ、いまファッションに私は浸っているの、というだけではない、固定軸としての自分を確かめるとまで言うと大袈裟かもしれないが、自分を大切にすることに結びつくアドバイスを感じるような気がしてならないのだ。
 いや、お喋りが過ぎたかもしれない。女心が分かっているような口を利いているように見えたらゴメンナサイ。言いたいことは、このお姉さんのアドバイス、触れてみて損はナイト思うけどなー、というくらいのものであって、いいだろうか。




Takapan
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