本

『クリスマスの文化史』

ホンとの本

『クリスマスの文化史』
若林ひとみ
白水社
\1890
2004.12

 ミッション系の幼稚園に通っていたとはいえ、信徒という立場でなく、これほどまでにクリスマスについて調べているとなると、ただ者ではない。
 ドイツに留学したときにそのクリスマスに触れて感動したことが基になっているというから、驚きである。それだけのことで、多額の費用を使ってクリスマスカードを収集したり、かなりのレア賞品を獲得している。
 とにかく、クリスマスが好きな著者であるようだ。
 クリスチャンだからといって、クリスマスについて何もかも知っているというわけではない。こうした趣味の強い人の研究を垣間見ることによって、クリスマスの歴史がこんなふうにヨーロッパで展開されていたのだということを知ることは、純粋に驚きである。
 ツリーから降誕の謂われ、サンタクロースにクリスマスの歌、市、カードや手紙といったも問題に悉く答えていく。最後は料理へ。それは、著者の経験によるものであるから、大したものである。
 ドイツに留学したがゆえではあるにせよ、ドイツが、様々なクリスマスの祝いの起源とされることが多いらしい。ルターの宗教改革がその大きな理由のようだ。
 クリスマスにまつわる、様々な言いつたえや意味解説が丁寧になされているのがいい。細かなところを見ると、聖書の隅々にまでは目が行き届いていないようだが、それをとやかく口挟むつもりはない。
 こんなにも、クリスマスということを愛している人がいることは、心強い。願わくは、それがキリストとの出会いや信仰という形で発展していけば、と思う。




Takapan
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