本

『スヌーピーたちの聖書のはなし』

ホンとの本

『スヌーピーたちの聖書のはなし』
ロバートL・ショート
笹野洋子・訳
講談社ソフィアブックス
\1470
1999.11

 出版は今からすれば少し以前となるが、以前読んでよかった記憶のある本なので、改めて読み直した。
 スヌーピー、つまりピーナッツのマンガの作者である、チャールズ・M・シュルツは、教会で一般信徒という立場から、説教をすることもあった。聖書を伝える、解き明かすという立場にある者は、何かを産み出すとき、聖書の意味をこめようとすることは極めて自然である。ピーナッツのマンガの中に、聖書のメッセージが背景をなしているのは間違いない。
 そもそも私とスヌーピーとの出会いは小学生のとき。映画の試写会に当選し、見に行ったのが始まりだった。それはヒーローもののようなカッコよさも、ギャグマンガのような爽快さもなかった。セリフの意味も分かりやすいとばかりは思えなかった。しかし、心の奥に入ってくる何かがあったのだろう。たまらなくスヌーピーが好きになった。鶴書房のコミックスを集め(今は角川)、自由ノートにあらゆるスヌーピーの絵を描いた。
 ただ、コミックスの「意味」は不明な点が多かった。難解だとも思った。
 しかし、今、聖書を知って改めて見ると、なるほどと思えることが多々ある。
 この本は、そんな視点から、あるいはむしろ専ら聖書の内容を伝えるために、ピーナッツコミックスをふんだんにプリントしたというようにさえ見える。
 もちろんそれは、ストレートにではない。教会学校で、ピーナッツを読ませて、聖書がなるほどよく分かった、と言わせるような性質のものではない。難解は難解だ。だが、聖書を生かした人生の見方、自己の捉え方といった哲学が、そこに満ちている。アメリカで売れに売れているこの本の原著は、「イラスト付現代版聖書入門」とも認識されているという。そのタイトルは『The Gospel According to Peanuts』、つまり『ピーナッツによる福音書』なのだそうだ。
 シュルツの言葉。「マンガの中に何も意味をこめないのなら、むしろ何も描かないほうがましだ。含みのないユーモアには、値打ちなどない」
 ピーナッツを愛する方の中で、聖書をご存知の方は、ときおり膝を打ちながら、すいすいと読めるだろう。聖書をご存知でない方は、聖書とはそういう本なのかと理解しつつ読み進むことだろう。
 いずれにせよ、私たちの人生を豊かにする知恵が、ここにある。




Takapan
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