本

『天国に行く前に読むと楽しくなる不思議なフシギな天国ガイド』

ホンとの本

『天国に行く前に読むと楽しくなる不思議なフシギな天国ガイド』
アンソニー・ディステファーノ
田栗美奈子訳
主婦の友社
\1/2005.1

 本当に不思議な本である。最初、少しついて行けないかな、とも思われた。
 だが、話の波に乗ってみると、実に清々しい気持ちでペースに合わせて読み進むことができた。
 要点は、こうである。死後の世界に天国というすばらしい旅が待ち受けている。そこではこれこれの素晴らしいことがある。あらゆる不安を排除して、そのことを心に抱こう。
 タイトルどおり、これはガイドである。かなり変わったガイドであるが、いろいろな説明、譬えなどを用いて、説得力のある叙述となっている。
 とはいえ、キリスト教の信徒でなければ、ピンとこないことは、当然多いだろうと思う。筆者もまた、キリスト教信仰を前提としているようなところがあるからだ。だが、それでもいいのではないか。というのは、筆者は、特定のキリスト教の派に偏っているようなことはなく、呼んでいて、カトリックかプロテスタントかという区別さえ、まるで感じさせないものになっているからである。
 それどころか、あらゆる派の区別などまったく無意味であるかのように、ここではただ神と自分との関係に的を絞った語り方がされている。
 パスカルは、神が存在するかどうか賭けてみるにしても、信仰をもったほうが有利だと説明した。もし神が存在するなら信じたほうが圧倒的有利であり、万一存在しないにしても、信じて喜びと平安に過ごすことに得があるからである。
 この本の著者も、それを踏まえているのかも、と見えないこともないが、そんな疑いめいたことはこれっぽっちももつことなく、ひたすら天国とはこんなにわくわくするところだと案内している。能天気に見えないこともないが、慣れてくるとそれこそがぴったりした態度であることが分かってくる。
 私たちは、これを信じると、わくわくして、喜びの人生となってゆく。
 著者も、それを願っていることだろう。宗教的にも幾らか広い見地から、狭い信仰信条に囚われず、広く受け容れられるメッセージとなっている。それは言うにはたやすいかもしれないが、実は大変難しいことである。
 だんだんと、「信じなきゃ損」というふうに思えてきたら、著者の言いたいことは、十分必要な実りをもたらすことになるだろうと思う。




Takapan
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