本

『あしあと』

ホンとの本

『あしあと』
マーガレット・F・パワーズ
松代恵美訳
太平洋放送協会(PBA)
\999
1996.10

 ある夜、わたしは夢を見た。……わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。そこには一つのあしあとしかなかった。……いちばんあなたを必要としたときに、あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、わたしにはわかりません。……
 キリスト教会では、有名すぎるほど有名な詩である。「あしあと」、原題ではFootprintsとなっている。信仰の神髄を表すと見なされ、この詩に慰められ、力づけられ、涙した人は無数にいることだろう。私もまた、その一人である。
 この詩は、作者不詳という形で伝えられていた。また、様々なバージョンがあり、どれがより元の詩に近いのか、そもそも元の詩とは何なのか、分からないでいた。
 この本は、この詩の作者による、この詩にまつわる背景をすべて記したものである。その経緯や背景もまた、ドラマチックともいえ、感動的な人生であることは間違いないであろう。
 信仰に感心のない方には、読みづらいところが少々あるかもしれない。しかし、恋人たちの出会いと結婚、その後の試練を含む生活のありさまだということで、包み隠さず語られたその姿については、きっとどこか共感をもってお読み戴けることかと思う。
 また、そこにはやはり感動もあることだと思う。純愛もの、とまで言えば不適切かもしれないが、そう言いたくなるような、ステキな物語である。しかも、実話の。




Takapan
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