『イラスト版 子どもの対話力』
多田孝志・石田好弘監修
学習スキル研究会編
合同出版
\1680
2012.3.
いくつかのシリーズがあり、子どもたちのコミュニケーションを円滑に行うためのスキルが紹介されている。
見開きでひとつの問題を解決し、また提案する。イラストが多く、それを補足するかのように文があるのがうまい。実のところ文が大事なのだが、そこへ読者がちゃんと向かって行ってくれると思うのだ。
ただ理論的にあれこれ書かれてあっても、読む気がしないことが多いのはよくあることである。そこへ行くと、親しみやすいシンプルなイラストがたくさん載せられており、いわば子どもが読んでもこれを見て実際にやってみることができる、という程度に、低いところからの視野が開けていると言えるだろう。
対話というと、人間関係が大きな比重を占める事柄でありそうだが、まずは自分を表に出すところからこの本は入る。そのためにも、自分の良いところを自分で捉え、それをアピールしていく、などということも必要になってくる。一定の自信がなければ、発表もできない。そしてこの発表という場面を用いることで、まずは対話というよりも、自分を口に出して伝えるということの訓練を行うことになる。
それから、発表の場における他人の発表の聞き方。これも、対話というよりは人の話を落ち着いて聞くという行為の大切さを訴えているであろう。
こうした訓練が、たとえ一対一になったとしても、有効に活かせることであろう。
自分の意思を伝えること。簡単なようで難しい。それが一対一であるのは緊張するが、要するに多数の中の一人であったとしても、どのように聞き、どのように発言していけばよいのか、それを学ぶ場にもなっているといえるだろう。
また、この本を見ているうちに、私がだんだんとこの本を利用してできることがあるだろうかと自問し始めた。つまり、大人にしたって、コミュニケーションが正しくできているかと問い詰められると弱気になるし、そんな中で自分が威張って自分の言うことを人にも強制的に聞かせるなどということを、けっこうやっているのである。対話力を増さなければならないのは、本当は大人のほうであるかもしれない。だから、いつも言うけれども、子どものための本を大人が見ると実に分かりやすく見え、そのために行動を始めようか、ということにもなってくる。若い人に限らないが、コミュニケーション力をつけるために、様々な教訓を身に受けていきたいと思う。