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『カトリックとプロテスタント どこが同じで、どこが違うか』

ホンとの本

『カトリックとプロテスタント どこが同じで、どこが違うか』
徳善義和・百瀬文晃編
教文館
\1200+
1998.11.

 入手したのは初版の10年後である。第9刷まで出ているから、よく読まれていることになるだろう。否、よく読まれなければならないはずだ。だが、私は本書を、偶然古書店で見つけただけだ。しかも、言いにくいことだが、かなり値が落ちていたために買う気になったのだった。私が本書の存在に気づいていなかった、それが実はショックである。発行当時、そこまで新刊本に目を光らせていなかったのだろうか。ルターの宗教改革500年のときには、各種の本をチェックし、幾冊かは購入して読んだのだが、1998年はさすがに何も気にしていなかったのだろうか。そもそもエキュメニカルの働きについて、私が関心がなかった、ということを露呈している出来事なのだろうか。
 本書はかなり重い。カトリックとプロテスタントとの一致の問題のため、双方が歩み寄り話し合い、祈り合うことで、多大なエネルギーを注いでいる。そのプロジェクトの報告書のような役割も果たしているのである。あのルター500年のときにも、カトリックとルーテル教会とが合同の記念礼拝を行うなど、大きな話題になった。そのための宣言のようなものを含め、ブックレットのようなものはいくつも発刊されたし、キリスト教世界では、大きなニュースになっていた。尤も、関心を寄せない教派も多く見られた。ちょっとした政治的事件には敏感に反応し、社会の悪を非難することに長けたようなところも、教会の一致と平和を祈り、そこから社会に呼びかけようという動きには、全く無知であったことも知っている。というより、最初から無視して無関心だったのだ。
 さて、本書の経緯と背景については、巻末に位置する「第2章」の座談会と、それに続く使徒信条の比較や用語解説、そしてたぶん、短い「あとがき」を先にご覧になるとよいかもしれない。もちろん、本を開いてすぐに、「推薦のことば」として、カトリックの枢機卿の文章は、最初でよいと思う。本書が生まれるまでに、6年間の対話があったということが、1行目から分かる。続く、短い「まえがき」ももちろん読むべきだ。つまり、本文よりも、こうした挨拶的に思われるようなところを、先ず心に納めておくとよいだろう、ということである。
 実は本文に入ると、ひたすら教義についての説明が延々と続く。キリスト教について知りたい、というだけの人は、魅力的かもしれない。信徒でなくても、教会というところが何を教え、どのように活動しているのか、ということについては、カトリック側の考えも、ルーテル教会の考えも、どちらも比較対照しながら読み進めていけるだろう。知識としても十分役に立つものと言える。
 他方、少しでもエキュメニカル運動について興味があったとしたら、先ほどのように前後に目を通した後、改めて聖書と教会について学ぶ気持ちで、教義をゆっくりと味わっていくとよいのではないかと思う。確かに勉強になる。私はプロテスタントだが、カトリックの礼拝については、直接的には知らない。多少は、本などを通じて知識をもっているが、こうして改めて比較してみると、如実に違うということを突きつけられるし、またその歴史や背景についても、時折知ることができる。コンパクトな本であるから、手軽で、しかも中身は熱い。
 また、何も両教会の比較だけをここで述べているのではないことも知るべきである。要するに聖書の何をどう、教会は理解しているか、というところが中心であるにしても、きっちりとした教義がそこにあり、いったい救いとはどういうことなのか、についての簡潔な説明も期待できるのである。
 編集者の二人は、両教会の大御所である。徳善義和先生の本もいくらか読ませて戴いている。宗教改革についての分かりやすい解説が著名であろうか。2023年に90歳で亡くなっている。百瀬文晃先生は、8歳若いが、2024年時点でご存命である。こちらは、カトリックを代表するような形で、多くの著書を世に出している。カトリックについての良きスピーカーとなっている。こちらも少しばかり本で存じ上げている。プロテスタントの私が読んでも、少しも違和感のない文章で有益だった。
 本書は、カトリックあるいはプロテスタントに偏らず、そして互いに相手の非を取り上げるようなことをせず、理解し合うというコンセプトの許に書かれた、分かりやすいキリスト教入門書である。そう捉えてよいのではないかと思う。
 それと共に、キリスト教を背負う者たちは、過去の歴史と向き合い、教会がしてきた過ちに気づくことが必要なのではないかと思う。ここにある歩み寄りは、決して、自分だけが正しい、とすることではなかった。それが、過ちに気づくための第一歩である、とも言えるだろうからである。
 この本が、改めて読まれる世の中になってほしい。この本をテキストとして、対話ができる世の中であってほしいと願う。




Takapan
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