本

『絵本 アンネ・フランク』

ホンとの本

『絵本 アンネ・フランク』
ジョゼフィーン・プール文
アンジェラ・バレット絵
片岡しのぶ訳
あすなろ書房
\1575
2005.4

 読む前に概要を聞くだけで悲しくなる本というのがある。『アンネの日記』などはその筆頭であろう。多感な少女の心が赤裸々に記される日記を、私たちが目にするということ自体、不思議なことだが、悲しみと共に、怒りのような感情も湧いてくるものである。
 たぶん、そうでなければならない、と思う。たんに過去のある団体や個人に対してのみならず、そのような世の中を作るかもしれない、自分自身に対する怒りさえ生じるのであれば、まだ世の中は健全で希望がもてると思うのだが……。
 それ自身見事な文学作品のような、その日記だと読み辛い、あるいはもっと小さな子どもにもアンネ・フランクのことを的確に伝えたいと思うとき、この絵本は役立つ。
 実にリアルな絵となった。
 文は、特別な感情がこみ上げてくるようなスタイルには、されていない。淡々と、本当に絵本が展開していくだけのことである。
 それほどまでに抑えた構成が、読者の心によけいに感情を揺さぶる働きをしなかったとしたら、それは、読者の鈍さにほかならないだろう。
 どこの図書館、図書室にも、ぜひ目立つところに置いて戴きたい一冊である。




Takapan
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