本

『天使の姿』

ホンとの本

『天使の姿』
ローラ・ウォード,ウィル・スティーズ
小林純子訳
新紀元社
\2940
2005.10

 サブタイトルが「絵画・彫刻で知る天使の物語」とある。とにかく、美しい。古今東西の、というと語弊がある。やはりこの領域は、中近東から欧州に限られているとみてよいからだ。しかしともかく、天使と呼ばれるものに関心をもつ文明の遺した様々な天使像が、ここに集約されているのは確かである。だから、実に画面が美しい。美術品の画像が所狭しと並べられている。
 必ずしもキリスト教とは限らず、イスラムの珍しい図版もあるのでためになるが、やはり大抵はキリスト教会のものである。そこには、聖書の物語の様々な解説があるのと同時に、聖書本文には現れない、人々の受け止め方、つまりその時代その地方の文化というものも露わになってくる。だから、これだけ一本調子で延々と絵と解説が重ねられるだけの本であっても、決して飽きることがない。
 読み耽っていると、それだけで天使フリークになってしまいそうである。
 必要に応じて、同じ事柄が繰り返し解説される。それもまた、いい。テーマ毎に整理されて、場の雰囲気というものが掴みやすいし、一大絵巻物、あるいは舞台を見ているような気持ちになってくる。
 これだけ人類の知恵を連ねられると、これはもう、たんなる創造の産物などとは感じられなくなってくる。今まさに、天使がここにいる、と。
 それにしても、よい紙が使われていて、小ささの割にずっしりと重い本であった。




Takapan
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