本

『即解!2007年問題トピック45』

ホンとの本

『即解!2007年問題トピック45』
吉田典史
九天社
\1260
2006.7

 いわゆるビジネスものは、苦手である。啓発書なども、覗いたことはあるが、なんとうわべばかりのことか、という感想だった。
 しかし、社会の動き、経済の流れについて、深い原理を問いつつ教えてくれる本があれば、それは傾聴に値するものだとは考えている。
 もとより、経済の理論など、分からない私である。理論というものが存在するなら、経済問題など速やかに解決するはずではないか、などと、数学的理解をする者としては、意地悪く呟いてみたいものである。経済は、教育と同様、実験が原理的に不可能な、それでいて極めて重大な影響を及ぼす分野なのである。
 さて、かつて2000年問題というものが、人口に膾炙したことがあった。コンピュータが、99から00への移行に対して誤動作をするのではないか、という心配であった。そんなこと、先にコンピュータプログラムを作る段階から、予想がついていなかったのか、ということのほうがよほど問題であるような気もしたが、深刻な事態には陥らずに済んだのは何よりであった。
 今、2007年問題というものが、私たちに迫っている。これは、いまださほど話題に上ってこない。要するに、団塊の世代が、退職期を迎えるということである。若年層の現象、さらに少子化社会を見越しつつ、人口的にもポスト的にも多大な部分を握っている世代が、一斉に退職していくとしたら、どんな混乱が起こるのか、という問題である。
 要点は、いわばそれだけだ。察しのよい人は、これであらゆる面で懸念される事態が予想されるはずである。
 この本は、この一つの問題を、ひとつひとつそれぞれの場面で、どのようなことが心配されるか、一冊の分量にまで拡大したものである。一つのことを、これだけ繰り返して語るのであるから、読みやすいことこの上ない。おまけに、頁の半分は、図表やイラストである。
 ビジネス書って、書いたら儲かるかもしれない、と本気で思った。




Takapan
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