本

『世界でもっとも美しい10の数学パズル』

ホンとの本

『世界でもっとも美しい10の数学パズル』
マーセル・ダネージ
寺嶋英志訳
青土社
\2520
2006.3

 ここに紹介されたパズルについて、知らないままで、塾で数学や算数を教えていたとしたら、モグリである。高等数学については知らなくても、こうしたパズルへの興味なくして、塾で教えることは無理なのである。
 世界的に有名な数学のパズルについて、ただ解き方やタネが紹介してあるという本ではない。その類のものが多々集められ、歴史的にも、周辺的にも、様々な話題に及んでいて、興味深い。とくに、各章の最後に並べられている「探究問題」が豊富であるところが、実用的である。類題が集められているのだ。
 最初の話題は、スフィンクスの謎かけである。しかし、そこからふくらませて、論理的な解決を要するなぞが、その章末問題に紹介されている。「あなたに属していて、あなた以上に他人が使うものは何か?」などである。答えは、「名前」。
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 これらを4本の線により一筆でつなぐというのは、本文で説明されていた。これもパズルの初歩である。だが、章末には、これを3本の線で一筆で、と換えられている。これは、通常のパズルにはない。幸い私はすぐに分かったのだが、この本にはこういうものまでアリとして載せられているのだというところが興味深い。
 また、数学的基礎知識については、時折コラムで説明がなされており、ある程度の学校での知識さえあれば、読むことにさほどの困難を覚えない。議論についていけないという可能性はあるだろうが……。
 類書で鍛えられている私からすれば、いろいろなものが集められているに過ぎないという感じだが、歴史的にも著名なパズルを一覧したいという場合にはお薦めである。とくに、その探究問題に勤しんでみたいという方は、類書にない魅力を覚えることであろう。




Takapan
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