『10歳からの”勉強”こうりゃく!』
清水章弘
小学館
\1400+
2025.6.
頭がよくなる88ワザ、という言葉も表紙にあった。塾を興したほか、教育的なアドバイザーもしているそうで、自ら優れた学歴の中で成長してきたことを、最大限生かしていることになる。教育の学びをしてきたこともあって、本書は著者の才能を最大限に活かしたものとなっているように見える。
時折、教育心理を踏まえたような提言もあるな、とは思っていた。しかし、それよりもなお、本書の優れているところは、見開き2頁でひとつのアイディアが紹介されている。右の頁は大きくそのアイディアが提示してあり、一コマのマンガで、要点を印象深く伝えている。このワンパターンなことが、最後まで続くのは偉大である。
章立てされており、まず「やり方、集中力、暗記…勉強のやり方」、次は「やる気、きん張、イライラ…メンタル」、それから「算数、国語、理科、社会…四教科」と分けられているだけだ。ただ、私からみて、この分け方は大まかなもので、厳密にこのタイプがくっきりと分かれているようには思えなかった。もちろん、分けられてはいるのだが、それよりも、一つひとつの指摘を「ふむふむと味わっていくことの方が、効用が大きいような気がするのだ。
私もまた、こうしたアイディアは、それなりに経験してきたし、提言してきた。一時は、そうしたことを情報として発信していたことがある。しかし、そんな私も、「そんな方法があるのか」と感心するようなことが、本書にはいくつも見られた。教育学を踏まえ、そして実際に生徒に触れあい、社会にも提言してきたことが、こうまでも鮮やかに整理されているのか、と驚くのである。
例えば「消しゴム禁止」というのも、理屈では分かっていたのだが、現実に伝えるようなことは私はしていない。心理的なことについては、「真けんなヒトの顔をマネ」など、思いつきもしない。「グーとパー」でリラックスでき、また記憶力にも関わるなど、知らないわけだ。「雨の日は記おく力が3倍あがる」など、考えたこともない。「暗記したら20分仮みん」など、もし何か裏付けがあっても、とても勧めることはできないだろう。後ろ向きに歩くと思い出しやすい、というのは本当だろうか。
しかしまた、動画で勉強したら必ずノートやメモをしよう、というのは、実に肯ける。iPadでの学習をリードする以上、私はこのことはつねに伝えていた。5分のタイマーを多用することも、短い時間の中での区切りが有効であることは、いつも感じていた。
メンタルについても、他人のためになら頑張れる、というような指摘は、言われると確かにそうだと思うし、生徒に対してというよりも、自分の問題として受け止めることもできそうだ。とりあえずペンを20秒握る、というのは、明日から生徒たちに勧めることもできるだろう。不安なことは書けばスッキリするなど、心理学的にもそうだろうな、と思えると共に、私も自分でやっていたことだったかもしれない。しかし、音楽は勉強する「前」に聞くならいい、というのは、私にはできていない。ずっとかけっぱなしである。
こうした点に加えて、最後の「四教科」の具体的な章の内容は、本当にそうかな、と思えるようなところも感じたし、逆にそんなことは指導上当たり前ではないか、と思えるようなこともあり、私にとっては大きな収穫はなかった。
とはいえ、これは10歳の子が読んでも分かるような書き方がしてあり、読んだその日からできるようなことも多い。だが、できれば、大人の目を通して、一緒にやることを決めてほしいと思う。88のワザをすべてすぐにできるはずがない。どれを選択するか、という問題になると、理解ある大人の判断も加えたほうがいい。塾の先生は忙しいだろうが、私だったら、少しずつその子の顔色を見ながら問いかけてみたい。

た
か
ぱ
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ワ
イ
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