新垣勉コンサート

2001年10月

 新垣勉(あらがき・つとむ)さんのコンサートに、行ってきました。

 福岡空港近くのある教会で、10月7日の夕刻、開かれました。

パンダ

 新垣勉さんは、目の見えないテナー歌手です。最近、テレビでも特集が組まれて、よく知られるようになりました。

 沖縄で生まれた新垣勉さんは、生まれてまもなく、助産婦のミスで失明しました。両親はその後離婚し、アメリカ兵だった父は、アメリカへ帰りました。母親は再婚して離れ、祖母を母親と信じて育っていきました。

 新垣さんは、事実を知って、父を憎み、助産婦を憎みました。父親を捜し出して、殺してやろう、と。自暴自棄だった青年期、誘われて教会へ行き、聖書を受け入れ、神を信じました。

 福岡の西南学院大学で神学を学び、また、武蔵野音楽大学の声楽科にも行き、その発声は、日本人離れしたものだと評されました。

 現在、各地の学校や施設、教会や病院、町のライブスタジオなどを駆け回る多忙な日々を送っています。

パンダ

 日本テレビ系で先般放映されたドキュメント番組(深夜、見ていました)のビデオが紹介された後、いよいよ新垣さんが入ってきました。

 もう、ビデオだけでも感動ものでしたのに、その本人がそこにいるというのは、なんだか不思議な感じがして、ただ思い切り拍手を送るばかりでした。

 教会堂の雰囲気によく似合う、エンジのジャケットに、なかなか派手な蝶ネクタイ。笑顔が絶えない、魅力的な姿でした。

「愛のよろこび」に始まり、「カルメン」や「アヴェ・マリア」などの名曲を、楽しいおしゃべりを交えて歌ってくれました。しゃれのきついおしゃべりに、会場は大いに沸いていました。

 喉を休める必要もあり、その分歌以外のおしゃべりを展開しなければならないせいもありますが、お話だけでも十分楽しませていただき、また、その確信に満ちたメッセージは、聞く者の胸に響きました。(なお、伴奏の松尾優美さんも、たいへん魅力的な方でした。)

パンダ

 目が見えない分、知識をすべて頭の中にためこんでいなければなりません。その記憶力には脱帽します。語学が堪能だというのも驚きですが、泉のように湧き出てくる知識と知恵にも、驚嘆せざるをえませんでした。

 そして、その言葉が、痛みを伴う経験に裏打ちされているゆえに、真実のものとして伝わってくるのも、確かでした。

パンダ

 新垣さんが語ってくれたことから、こんなことを学びました(文責はたかぱんです)。


 人は、それぞれ一人でしかない。孤独な存在だ。けれども、その一人であることをわきまえたうえで、互いに平和を築いていくことはできるはず。

 愛とゆるしは、車の両輪。ゆるすことがなければ、愛もない。愛がなければ、ゆるすこともできない。それが完全にできた人間は一人もいない。神の子キリストを除いては。

 神の前に、自分という人間が小さな存在でしかないことが分かったとき、そこに恵がある。そこから、大きな喜びが始まる。小さな一人でしかない自分を、こんなにも愛してくださった神がある。


 アンコールに、『さとうきび畑』の一部を歌ってくれました。涙が出ました。

 いくら、歌の上手な歌手が、この歌を美しく歌ったとしても、この新垣さんの歌にはかなわない。歌に、人生のすべてを注ぎ込んだ魂がある。そんなふうに感じられました。

 たかぱんは、会場出口で、CDを購入しました。

パンダ

Takapan
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