ヨセフの役割

チア・シード

マタイ2:13-15   


博士たちを、主は天使を通じ、夢で導きました。星も神の業でしょう。星でユダヤへ導いた後、夢で帰り道を示しました。このタイミングで主は、ヨセフに再び夢で呼びかけます。起きよ。ヨセフは幾度もこうして夢を与えられ、起こされます。まるでいちも眠ってばかりいるようです。いえ、私がいつも眠りこけているため、戒めと致しましょう。
 
幼子とその母を連れて、ヨセフは行動します。妻とは決して言いません。ヨセフはマリアの夫というよりは、二人を守り導く役回りを演じています。寡黙なままに命を庇い行動するヨセフは、1870年に教会の守護聖人とカトリック教会が認めています。ヨセフは、エジプトに逃げ、そこに隠れているようにと指示されます。
 
どうしてエジプトなのでしょう。もちろんここにあるように、ヘロデが命を狙っているという理由で逃げるのでしょう。博士たちが訪れた際、ヘロデ王の話は出なかったのでしょうか。こんな経緯でここに来たのだ、との説明がなかったのか。あるいはヨセフの耳に入っていなかったのか。いや、その記憶がこの夢と結びついたのかもしれません。
 
ヨセフは幼子とその母を連れて、直ちにエジプトへ向かいます。後に、ヘロデが死ぬまでそこに潜んでいたことになります。マタイはここでホセア書を引用し、このエジプトへの逃避行が預言の書における神の計画に適っていることを示します。イエスが旧約のメシアであるということを、なんとしても正当のものと伝えたいからです。
 
けれども、預言の中にエジプトとあるから、それだけでしょうか。預言書の直接的な言及のみならず、物語の構造自体にもメシア性が表現されているのではないでしょうか。当時の政治、あるいは交通事情からエジプトが最適だったとも考えられますが、ここで旧約聖書創世記の、同じ名前のヨセフを思い起こしたいと思います。
 
ヤコブの子ヨセフがエジプトへ売られ、飢饉のイスラエルから父や兄弟を呼び寄せます。その後イスラエル民族はエジプトで増えましたが、かつてのヨセフの業は忘れられ、奴隷状態となりました。そこでモーセが選ばれて、イスラエルの民をエジプトから脱出する役割を果たし、40年かかりましたが、イスラエルの地に戻ってきます。
 
イスラエル民族は、ヨセフによりエジプトに逃れ、後にモーセに導かれ、約束の地に戻ってきました。モーセは初めてイスラエルの民に、律法をもたらしました。いまエジプトから戻る聖家族にはイエスがいます。イエスは、イスラエルの民に、また全世界の人々に、新しい律法、愛の律法をもたらすことになるのです。


Takapan
たかぱんワイドのトップページにもどります