一人の父親でしかなかった
チア・シード
サムエル下18:24-19:1
ダビデの子アブシャロムは、ついにダビデを王宮から追い出しました。妹タマルが辱められたことで兄弟アムノンを憎み、殺してしまったアブシャロムを、将軍ヨアブの箴言もあってダビデは赦しました。しかし、アブシャロムはやがて「イスラエルの人々の心を盗」(15:6)み、味方を増やします。ダビデは争うことを避け、エルサレムを去ったのです。
しかしダビデも、身を守ることは必要です。忠臣フシャイをアブシャロムの許へ送り込み、父ダビデを攻略しようとする息子の作戦を狂わせます。その手を読み尽くしたダビデ側は、ヨアブに戦いを任せました。王が先人に出ることを、兵たちは案じたからです。王はヨアブたちに、「若者アブシャロムを手荒には扱わないでくれ」(18:5)と頼みます。
けれどもヨアブは王を護るため、迷わずアブシャロムにとどめを刺しました。さあ、この報告をどうするか。ヨアブの部下アヒアマツが急使を申し出ますが、ヨアブはそれを制します。王がアヒアマツを罰することを恐れたのでしょう。たとえ王に打たれてもよいように、一人のクシュ人に報告を命じます。クシュ人がまず走り出しました。
アヒアマツは居ても立ってもいられず、ヨアブに自分もやはり走ると願い、許可を得ます。さて、ダビデはエルサレム城壁の見張りから、一人の男が走って来たと報告を受けます。一人なら良い知らせだろうとダビデは自分に言い聞かせます。見張りは、もう一人走って来ると告げました。ダビデは、二人目もまた福音をもたらすと自分に言い聞かせます。
「良い知らせ」と三度も口にする中、先着は追いついたアヒアマツ。勝利したとだけ告げ、「アブシャロムは無事か」の王の問いには分からないと答えます。次にクシュ人が到着し、「良い知らせです」と報告します。しかし「無事か」の問いは否定されました。「わが子アブシャロムょ」と悲しむダビデは、このときただの一人の父親でしかありませんでした。