間もなくクリスマスです。 クリスマスは、何の日だか、知っていますか。 今日は、クリスマスのストーリーをご紹介しましょう。
今から二千年余り前、今のイスラエル、ガリラヤ湖の近くのナザレという村に、マリヤという、いまの中学生くらいの年齢の女性がいました。そこへ神の使いが現れて、あなたは男の子を産みます、と告げられます。それは世界の王、神の子です、イエスと名づけなさい、と。
マリヤには婚約者がいました(昔は日本でも嫁入りは早かった)。ヨセフといいます。法律では、結婚前に夫になる男のほかの子どもが産まれるようなことがあると、死刑とされます。ヨセフは悩みましたが、これもまた神の使いの助けがあって、マリヤをそのまま迎え入れることに決めました。
やがて産まれる時期がきます。時はローマ帝国の時代。ヨセフもマリヤもユダヤ民族でしたが、ローマ皇帝が、税金の都合で戸籍調査をすることになり、彼レらは本籍のあるベツレヘムという町まで戻らなければなりませんでした。100kmあまりの距離です。妊婦には大変でした。
戸籍調査のために、おおぜいの人が旅しています。彼らは泊まる宿も見つからず、民家の家畜小屋で男の子を産みました。
その少し前、野原では、身分の低いとされていた羊飼いたちが、夜番をして羊を見守っていました。すると突然、天の御使いが現れて、救い主キリストが現れたと告げました。飼葉おけに寝かされているみどりごを見に行くのです、と言われて羊飼いたちは、ベツレヘムへ向かいます。
また、東の国では、天体観測をしていた学者たちが、不思議な星を見つけます。これは世界の王が産まれるしるしだ、と学者たちは贈り物を手に、星の動く方角に旅をします。
こうして、羊飼いたちが、つまりこの世で軽蔑され、いじめられていた者たちが、幼子イエスのところに来ました。続いて学者たち、つまりこの世で最も知恵のある者たちが、幼子イエスのところに来ました。そして、神に約束された王、神の子だとして礼拝をささげます。
キリストとは、救い主、という意味です。新約聖書はギリシア語――今で言う英語のような当時の共通語――で書かれていますが、ギリシア語では「クリストス」と発音します。「マス」は英語でいう、いわゆる「ミサ」、カトリック教会で用いる礼拝の意味です。そう、「クリスマス」は、「キリストを礼拝すること」です。この出来事を記念して、冬至を迎えるころ、このころからだんだん日が長くなるので、救い主が現れて時代が明るくなっていくと考えた人が、後にこの12月の終わりを、キリストを礼拝する日として定めました。ほんとうにこの日にイエスが産まれたというわけではありませんが、教会ではこのときを大切にしてクリスマス礼拝を行っています。
イエスと名づけられたこの子は、旧約聖書の時代から待ち望まれた、ユダヤのしいたげられた人々を救う王、救い主だと期待されましたが、三十歳のころに活動を始めてからも、病気を癒したり、エリートたちの間違いを指摘したりするばかりで、ローマ帝国をやっつけるようなことをなかなかしません。ついに人からねたまれたり、裏切られたりして、全く嘘の訴えを受けて、死刑を言い渡されてしまいます。当時、そしておそらく歴史上で、最も残酷な死刑であると言われている、十字架刑でした。
ところがイエスはその前から、弟子たちに、三日目によみがえる、と繰り返し告げていました。弟子たちはそれを一時忘れていましたが、はたして葬られた三日目の朝、イエスの遺体は墓になく、よみがえったイエスに弟子たちが次々と出会います。イエスは復活したのです。
この十字架の死、そして復活には、意味があることが間もなく分かりました。人には、もともとそなわっている「罪」という問題があります。どうしても悪いことをしたり、考えたりする性質があります。自分が偉くて正しくて、ほかの人が悪いとまず考える性質があります。醜い心のままでは、死後、神のさばきがあるときに、永遠の罰を受けることになってしまうのです。しかし、この私の罪の罰を、イエスが代わりに受けてくださった、つまり十字架というむごい刑は、私の罪の故に受ける罰の身代わりにイエスがなってくれたということだ――そう信じる人は、罪なんて神の前にないものだとしてもらえるのだ、と分かったのでした。これは旧約聖書以来、神が人間に対して送っていたメッセージの数々のすべてが一つにつながる理解でした。
クリスマスは、このようなイエスが地上に現れてくださったことを、いつも私たち人間が忘れないように、ということのために毎年祝われています。そして、世界中で毎日数万人のひとの心の中にイエスが産まれています。自分には罪があると知ること、イエスがあの十字架でその罪の身代わりになって死んでくださったこと、そしてこれを信じた人には、永遠のいのち――神にゆるされて神のそばで永遠に祝福されていること――が与えられる、その約束が、伝えられているのです。